「リードタイム」の意味とは?語源はトヨタ?サイクルタイムとの違いも解説

商品の受発注に関わる仕事に携わる人にとってはおなじみなのが、リードタイムという言葉です。

近年では商品の受注・発注に限らず、業務の請負いから完了までを表すといったように使用の場面が広がっています。

またIT業界や転職業界など、物流や製造以外の分野でリードタイムが使われることもしばしば。

既存の言葉と組み合わせたフレーズも多数造られており、リードタイムは今やビジネスシーンにおける重要ワードであるといえるでしょう。

この記事の内容

リードタイムの意味をわかりやすく解説!ビジネスではスピードを測る上での指標?

リードタイムとは一体どんな意味なのでしょうか。リードタイムが使われる場面を見てみると、どうやら仕事のスケジュールやスピードに関係がありそうですよね。

まずはスケジュール、スピードに注目しながらチェックしてみましょう。

リードタイムの意味は物流用語で「発注から納品までに必要な時間」のこと

リードタイムとは物流用語の1つで、発注から納品までに必要な時間を指します。

スタート地点は注文主が発注をかけたタイミングであり、受注側が注文内容を確認したタイミングではないということですね。

オペレーション品質を測定する4つの指標からスピードを測るのに使用

一般的に企業のオペレーション品質は、4つの指標に基づき評価されます。

4つの指標とはスピード・正確性・コスト・継続性です。スピードを評価する測定基準として、リードタイムが適用されるというわけですね。

納期との違いとは?日付か期間を指すのかで使い分け

リードタイムとよく似た言葉に「納期」がありますよね。

それぞれ意味に違いがあるのをご存知でしょうか。納期とは期限を指します。具体的には「5月10日」といった、締切のタイミングをいうのです。

一方リードタイムという場合は、期間を表します。所要時間と言い換えてもよく、「発注から3日間」とか「発注から7営業日数」などといった表現が正しいということですね。

リードタイムの計算とは?カウント方法

リードタイムは開発・生産・在庫・納品という4つシステムに基づき算出されます。

4つのシステムについて、さらに開発リードタイム・生産リードタイムといった具合で個別のリードタイムを計算するのです。

すなわち各システムの作業工程を経たリードタイムの総計は、発注から納品までのリードタイムとイコールになります。

会社でもらう資料のN日ってどんな意味?リードタイムとの関係性

製造業に従事している人であれば、会社から配布される資料の中に「N日」と書かれているのを見たことがあるのではないでしょうか。

「N日」のNとはNaturalNamber(自然数)の頭文字で、1以上の数値が当てはまります。

N日という場合は「所要日数」を表すのが一般的ですが、N日がリードタイムとイコールとは限りません。基準となる所要日数をN日とした場合、例えばリードタイムが1日延びた際には「N+1日」という要領で記載します。

また作業の種類や工程の内容によっては基準のN日よりも多く日数がかかるものもあるため、「N+1日」あるいは「N+2日」などといった要領で記載するのが一般的です。

リードタイムを構成する4つのシステムの意味をチェック

リードタイムは開発・製造・在庫・納品という4つのシステムで構成されています。

4つのシステムにはそれぞれ個別のリードタイムがあり、システムごとのリードタイムを総計した結果が全体のリードタイムになるのです。

基本的な仕組みを理解した上で、各システムのリードタイムについて詳しく見ていきましょう。

開発リードタイムの意味

開発リードタイムとは、商品の企画・立案をするために必要な期間の合計を指します。

製造(生産)リードタイムの意味

生産開始から、製品が完成するまでに必要な期間を製造リードタイムといいます。生産リードタイムも同義です。

在庫(調達)リードタイムの意味

在庫リードタイムとは、製品の生産に必要な原材料や部品を購入し検品を終え、生産現場からの納入要求に対応可能になるまでの所要時間です。

商品の仕入や在庫管理と区別するため、在庫リードタイムではなく調達リードタイムという場合もあります。

納品(配送)リードタイムの意味

納品リードタイムとは、製品を出荷してから納品先に届けられるまでの所要時間です。

発注から到着までを包括して納品リードタイムと呼ぶ用例もあり、混同を避けるため「配送リードタイム」や「輸送リードタイム」と呼ぶ場合があります。

物流だけじゃない!ホテル業界で使われるリードタイムの意味とは?

リードタイムは物流業界だけの用語ではありません。業界別にいくつかの用例がありますが、代表例としてホテル業界を取り上げます。

ホテル業界におけるリードタイムとは、予約を入れた日から実際の宿泊日までに生じる日数です。

リードタイムは様々な要因によって変動すると考えられますよね。例えば個人か団体か、あるいはシーズンのオンオフなどといった要素が挙げられます。

予約の動向に関する分析はデータ管理および運営の判断材料です。ホテルのようなサービスの分野においても、リードタイムは重要な概念といえるでしょう。

リードタイムの正しい使い方を例文で見てみよう

実際の文章の中でリードタイムを使う場面を考えてみましょう。

商品の売り手、買い手双方のケースを2例ずつ想定します。

商品の買い手側の場合

商品の買い手側から見たリードタイムは、発注から納品までの期間です。

結果だけを求める場合はリードタイム内のプロセスを無視しても構いませんが、遅延が生じる際の理由や原因にも関心を持つと仕組みがわかってきます。

深夜にWebストアで文具を購入した。発注自体は日付変更前だったが、業者が実際に稼働するのは翌日だろう。発送には業者側の2営業日かかるとのことなので、リードタイムは今日起算で3日間ということだ。

輸入商品を購入する場合はリードタイムを多めに見積もる必要がある。通関手続きに時間がかかる場合があるからだ。便の種類や内容物、あるいは混雑の度合いなどによっても所要時間が変動するのである。

商品の売り手側の場合

商品の売り手側におけるリードタイムの場合、顧客からの注文発生から納品までに4つの個別リードタイムを要します。

4つの個別リードタイムとは生産工程における開発・製造・在庫・納品それぞれのリードタイムです。

個別リードタイムを全て合算したものが、トータルのリードタイムというわけですね。

開発リードタイムは個別リードタイムの中でも特殊な位置づけで、営業サイドで商品企画を練るところから開発がスタートする。コンセプトが固まらなかったり何度も会議を繰り返したりといった状況が続くと、リードタイムも延びてしまいがちだ。

製造リードタイムは、4つある個別リードタイムの中でも最もセンスが問われるパート。原材料の購入と配分、生産ラインの整備と稼働、人員配置などあらゆる要素が詰まっており、リードタイムの短縮や生産性の改善を図りやすいのも製造リードタイムである。

リードタイムの営業モデルはトヨタを参考にすると分かりやすい

生産業にとって生産計画の効率化を図り、リードタイムを短縮することは至上命題の1つです。

リードタイムの参考モデルとして、トヨタ社の生産管理システムがよく取り上げられています。特に「必要な時に必要なものを必要な分だけ作る」という、ジャストインタイム方式が有名でしょう。

ジャストインタイム方式のポイントを簡単にまとめると、欲張って余分な注文を受けようとせず、余剰分も必要以上に生産しないということです。

製造工程にメスを入れるのではなく、受注生産のスタンス自体を切り替えるアプローチですね。

仮に古い受注案件の製造にかかりっきりの場合、せっかく新しい案件がやってきても着手するのが遅れてしまいます。リードタイムもどんどん延びていくでしょう。

ジャストインタイム方式では受注と生産をコンパクトに抑えることで、新規の注文に対しても即座に対応できる態勢を整えやすいというわけです。

また在庫数を圧縮すれば適正在庫につながり、倉庫の負担も低減されます。トヨタ社の例に倣うならば、受注と生産のボリュームをコントロールするカギは営業が握っているといえるでしょう。

サイクルタイムとは?リードタイムの類語の意味や違い

リードタイムの類語として、サイクルタイムが挙げられます。サイクルタイムとは経営用語の1つで、連続したライン作業が稼働している状況における1作業工程の所要時間のことです。

サイクルとは循環・連続という意味ですよね。1作業工程、すなわち1サイクルに要する時間がサイクルタイムに相当します。

リードタイムとの違いとして、サイクルタイムの場合は1工程単位で捉えるという点が特徴です。仮に1工程に要する設備を変更したとしても、リードタイム全体が変わるとは限りません。

しかし設備を変更して1サイクルの時間が縮まれば、サイクルタイムを短縮したことになります。

リードタイムの語源は?英語「lead time」の意味

リードタイムの語源は、トヨタ社の社内用語として使われていた和製英語“lead time”に遡ります。

“lead time”は元々トヨタ社の社内プレゼンテーションにおいて、必要最低限の仕掛品を指す「標準手持ち」と呼ばれる概念を説明する際に使われた造語です。

“lead time”は和製英語でありながら、逆輸入の形で英語圏においても使われるようになりました。一企業の社内用語が、やがて製造や物流におけるスタンダードな概念として浸透していったのです。

トヨタ社の生産方式は、製造・物流といった業界や仕事内容に限定されず、あらゆる方面に多大な影響を与えています。

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