「いらっしゃいますか」の意味と使い方を解説!動詞・補助動詞の用法がある!

問いかけの敬語「いらっしゃいますか」には動詞・補助動詞と、2種類の使い方があります。

特に動詞の場合は「居る・行く・来る」と、相手の行動・意向に関する内容に分かれ、複数のニュアンスがあるため注意が必要です。

以上を踏まえ、当記事では敬語のフレーズ「いらっしゃいますか」の意味・使い方・言い換え表現などを解説します。

例文・外国語表現も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

この記事の内容

「いらっしゃいますか」の意味・敬語表現を解説!

「いらっしゃいますか」は相手の意向・動向を尋ねる動詞と、丁寧の補助動詞の2通りに分かれます。

最初に動詞・補助動詞それぞれの意味を確認しておきましょう。

「いらっしゃいますか」を分解してみよう

「いらっしゃいますか」は、「いらっしゃる」の活用形+丁寧の助詞「ます」+疑問の助詞「か」で構成されたフレーズです。

フレーズの要は「いらっしゃる」に付きます。「いらっしゃる」を正しく理解できれば、「いらっしゃいますか」を使いこなすことは難しくありません。

動詞「いらっしゃる」の意味は?

動詞としての「いらっしゃる」は、「いる」の尊敬語。原型は「居る」「在る」「来る」です。

目上の相手が主体で「居る」「在る」「来る」のアクションを起こす場合、尊敬語で「いらっしゃる」と表現します。

ちなみに「いらっしゃる」には「行く」の意味もあるものの、使われることは稀です。誤解を招く可能性もあるため、別の敬語表現に言い換えましょう。

補助動詞「いらっしゃる」意味は?

補助動詞「いらっしゃる」は、目上の相手の様態・状況を表す尊敬表現です。

すなわち「~だ」「~である」を丁寧に表現する意味合いであり、「です」「ます」「ございます」などと同義といえます。

例えば人物Aについての説明を「A様です」「A様でございます」と表現する要領と、「A様でいらっしゃいます」と表現する要領は本質的に同じですよね。

以上を踏まえ、「いらっしゃる」には補助動詞としての意味もあるのです。

「いらっしゃいますか」を使う際の注意点

「いらっしゃいますか」は目上の相手に使うフレーズです。敬語表現ならではの言い回しであることを踏まえ、注意すべき点を解説します。

「いらっしゃいますでしょうか」は二重敬語

「いらっしゃいますでしょうか」は丁寧の補助動詞が重複した二重敬語です。具体的には「ます」と「でしょう」で重複しています。

日常会話の中で飛び交うことも珍しくありませんが、誤った用法なので注意しましょう。

来訪を促す意味もある

動詞として「いらっしゃいますか」と述べる場合、相手の在宅・居室などの所在に関する問いかけが一般的です。

一方、「来る」の尊敬表現として相手の来訪を促す意味合いもあります。文脈によって判断できる場合が多いとはいえ、尋ねられる側とすれば紛らわしいものです。

「来る」の意味で目上の相手に誘いをかける場合は、「お越しになりますか」のように言い換える方がスマートといえます。

「いらっしゃいますか」に対する返答の仕方は?

「いらっしゃいますか」と問いかけられた場合は、自分もしくは身内に対して尊敬語を使われていることに注意しながら返答しましょう。具体的な用例を挙げながら解説します。

「いらっしゃいます」はNG

先述の通り、「いらっしゃいます」は尊敬語です。相手から「いらっしゃいますか」と問いかけられたのに「いらっしゃいます」と返答すると、自分もしくは自分の身内を敬う姿勢を打ち出すことになってしまいます。

すあわち相対的に相手に対する敬意が薄れるため、マナーとしてNG。上司・先輩などに向けてかかってきた電話に応対する場合でも、理屈は同じです。

自分にとって目上の相手であっても外部の人物からすれば身内であり、「いらっしゃいます」と返答してはいけません。

適切な返答は「おります」

「いらっしゃいますか」と問いかけられた場合は、「おります」と返答しましょう。

「おります」は謙譲の動詞「いる」+丁寧の助詞「ます」で構成されたフレーズで、目上の相手に対しへりくだった姿勢を表す丁寧な表現です。

「います」はややラフ

「いらっしゃいますか」に対する返答の仕方として、「います」は適切ではありません。

敬語分類上、「います」は丁寧語。「いらっしゃいます」に比べれば失礼の度合いは低いものの、若者言葉・バイト言葉のような位置づけとみなされます。

「いらっしゃいますか」の使い方をシーン別に紹介!

紹介してきた基礎知識を踏まえ、「いらっしゃいますか」を使う具体的な場面を考えてみましょう。電話・メール・口頭の3パターンを紹介します。

電話で「いらっしゃいますか」を使う場面

電話で「いらっしゃいますか」という場合は主に2パターンです。

例えば「武田課長でいらっしゃいますか」のように、電話に出た相手を正しく認識するため確認すための質問が1つ。

もう1つのパターンは、「武田課長はいらっしゃいますか」用事のある相手を呼び出してもらうようお願いする意味での問いかけ・呼びかけです。

2つ目のパターンはやや特殊で、言葉の上では所在確認に留まるものの、実際の用向きとしては呼び出しを依頼する意味が含まれます。

メールで「いらっしゃいますか」を使う場面

メールにおける「いらっしゃいますか」は、所在確認よりもアポイントメントに関する問いかけが一般的です。

例えば来訪のアポイントメントに関する質問であれば、「何時頃いらっしゃいますか」のような問いかけ方をすることになります。

例外として、営業・出張などで目まぐるしく移動することの多い幹部・役員層などに対しては、まず所在確認する意味で滞在場所を問いかける場合があります。

口頭で「いらっしゃいますか」を使う場面

口頭で「いらっしゃいますか」と問いかける場面は多くありません。

考えられるケースとしてはイベント・催し物のように、日常的なやり取りとは別の行事に招待する用向きが妥当です。

ちなみに面談・面会に関するアポイントメントを対面で取り付けるのは不自然であるため、想定する必要性は薄いと考えられます。

「いらっしゃいますか」の言い換え表現を紹介

動詞としての「いらっしゃいますか」には複数の意味があり、時として紛らわしい旨を先述しました。

動詞「いらっしゃいますか」を別の言葉で言い換えるとどのような表現が当てはまるか、チェックしておきましょう。

「居る・在る」の敬語で疑問形

「居る・在る」の尊敬語としての「いらっしゃいますか」を言い換えると、「おいでですか」が当てはまります。

「おみえですか」も該当するものの、「現れる・やってくる」の尊敬語としての意味もあるため最適ではありません。

「来る」の敬語で疑問形

「来る」の尊敬語としての「いらっしゃいますか」を言い換えると、「お越しになりますか」が当てはまります。

「おいでになりますか」も該当するものの、やや回りくどい表現です。「お越しになりますか」の方がストレートで伝わりやすいと考えられます。

ちなみに「お越しになられますか」は、尊敬の二重敬語のためNGです。

「いらっしゃいますか」を使った例文3選!

紹介してきた知識を踏まえ、「いらっしゃいますか」を使った例文を3つ考えてみましょう。

例文

「村上商事の佐藤と申します、お世話になります。上野部長はいらっしゃいますか」
「お世話になっております。はい、上野ですね。社内におりますので、しばらくお待ちくださいませ」

例文

「こんにちは、社長をお呼びいただけますか」
「失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますか」
「申し遅れました、わたくし浅野と申します」
「本日は浅野様とおっしゃる方とのお約束はございません。恐れ入りますが、アポイントメントなしでの面会はお断りしております」

「いらっしゃいますか」の英語表現は?

「いらっしゃいますか」の英語表現として代表的なものは、下記のフレーズです。

・“Is A available?”
(Aさんはいらっしゃいますか)

<補足>

“available”は直訳すると「利用可能」という意味ですが、実際には「自由である・忙しくない・拘束されていない」といった意味合いで使われます。

・“A있습니까?”
(Aさんはいらっしゃいますか)

<補足>

“있습니”で「ある・いる」の意味を表します。“있습니까?”で疑問形の「いらっしゃいますか」という意味です。

まとめ

「いらっしゃいますか」は様々な意味を持ったフレーズです。敬意を伴う表現である点は共通であるものの、問いかける内容は状況によって異なります。

敬語表現を使う場合、相手に対する敬意を優先するあまり、肝心の用件をうまく説明できないことがあるもの。

「いらっしゃいますか」のフレーズを使いたい場面でも同様に、他の表現に言い換える方がよい場面があります。柔軟に対応しましょう。

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