「存じ上げない」の意味・使い方を紹介!「存じない」ほかの誤用例・注意点も解説!

目上の人物の名前・役職といった知見が不足している場合、「存じ上げない」と表現しますよね。

「存じ上げないです」のような誤った表現のほか、「存じない」のような似た語感の言葉もあり、違いを説明できるだけの正確な知識が必要です。

当記事では「存じ上げない」の正しい意味・使い方・注意点のほか、誤った表現との違いについても解説します。

この記事の内容

「存じ上げない」の意味を紹介!

「存じ上げない」の意味を紹介!

「存じ上げない」を理解するには意味だけでなく、敬語分類についても正しい知識が必要です。以下で詳しく解説します。

「存じ上げない」の敬語分類

「存じ上げない」の敬語分類は謙譲語です。

原型は「知らない」であり、目上の相手に対してへりくだった態度を表します。

謙譲表現の性質上、「存じ上げない」の対象は人物のみ。

物・場所・地名といった対象に対して知らない旨を表す際は、「知らない」「存じません」のように伝えましょう。

「存じ上げない」の意味

「存じ上げない」とは対象の人物に関する知見がない、といった意味合い。

具体的には話題に挙がった人物の名前や、役職・経歴・エピソードといった個人にまつわる情報が取り沙汰されます。

もしも対象の人物に関する知見がある場合は、「存じ上げる「存じ上げます」の回答しましょう。

「存じ上げない」の使い方を解説!

「存じ上げない」の使い方を解説!

紹介した意味を踏まえ、「存じ上げない」の具体的な使い方を解説します。

詳細は以下の通りです。

相手の名前・役職などに関する知見がない場合

「存じ上げない」を使う主な状況として、対象の名前・役職などに関する知見を問われる場面が挙げられます。

「存じ上げない」と切り返すのは、対象についての知見がない場合。知見がある場合は否定せずに、「存じ上げる」と回答しましょう。

多くの場合ビジネスシーンでのやり取りが中心であるものの、接客業のほか、人に関する噂話程度でも使う可能性があります。

「存じ上げない」の注意点

「存じ上げない」の主な注意点は以下の2つです。

①・・・対象が物・場所の場合には使わない
②・・・自分から質問する場合には使わない

①については先述の通りで、「存じ上げない」で知見の有無を問う対象は人に限られます。

対象が物・場所の場合は、「知らない」「存じません」のように返しましょう。

②について補足すると、質問・問いかけの言葉として「存じ上げない」を使うのは不適切です。

たとえば、「Aさんについて存じ上げないでしょうか」のような表現はNG。

「Aさんについてご存じですか」のように、否定形を使わない表現にしましょう。

「存じ上げない」と「存じない」の違いは?

「存じ上げない」と「存じない」の違いは?

「存じ上げない」と混同されやすい語句のひとつに「存じない・ご存知ない」が挙げられます。

まず、「存じない」は日本語表現として存在しません。

「存ず」の否定形は「存ぜぬ」であり、敬語の場合は「存じません」が正解。

「ご存じない」は正当な敬語表現ですが、主体が他者であるため語句としての趣旨は異なります。

というのも「ご存じない」の場合、目上の人物が対象について知っているか否かが問題であるためです。

以上の理由から、「存じ上げない」と「存じない」には大きな違いがあります。

「存じ上げない」の誤用例をチェック!

「存じ上げない」の主な誤用例は「存じ上げないです」と「存じ上げておらず」の2つです。

各誤用例に関する詳細を解説します。

存じ上げないです

「存じ上げないです」は「存じない」と同様、そもそも日本語表現として存在しません。

若者言葉である「知らないです」から派生した表現と考えられ、上辺は敬語の体裁をとっているものの、実際にはマナー違反です。

特にビジネスシーンで誤用すると恥をかいてしまうため、注意しましょう。

存じ上げておらず

「存じ上げておらず」の表現は否定の部分に誤りがあります。

「存じ上げる」には「~ておらず」と組み合わせる用法はありません。

否定形の場合は「存じ上げず」「存じ上げないため」のような言い回しで表現しましょう。

「存じ上げないです」の例と同様、「存じ上げてなく」のような若者言葉もNGです。

「存じ上げない・知らない」の言い換え表現は?

紹介した基礎知識を踏まえ、「存じ上げない・知らない」の言い換え表現もチェックしましょう。

「存じ上げない」「知らない」に分けて紹介します。

「存じ上げない」の言い換え表現

「存じ上げない」は主にビジネスで使われる表現です。

ビジネスシーンで使いやすい言い換え表現を紹介します。

●存じ上げません
「存じ上げません」は「存じ上げない」の丁寧表現です。謙譲語+丁寧語の連続敬語であり、非常に高い敬意を表します。

主に対面で対話する場合に適しており、接客応対時に使うと好印象。

「恐縮ですが存じ上げません」のように、クッション言葉を挟むといっそうスマートです。

●面識がございません
「面識がございません」は、面識の有無を問われた際の返答に有用です。

たとえば話題に挙がった人物の名前や評判などは聞き及んでいても、実際に対面した経験はないといった場合が該当します。

あくまで論点は面識の有無であるため、「存じ上げません」と完全にイコールではありません。

●存じません
「存じません」は「知りません」をより丁寧に言い換えた表現です。

「存じ上げません」よりも汎用性が高く、人物以外に物・場所・地名といった多くの対象に使えます。

注意点として、対象が人物である場合は「存じません」よりも「存じ上げません」の方がスマートです。

「知らない」の言い換え表現

「知らない」の主な言い換え表現は「分かりかねる」「存ぜぬ」の2つです。

各語句について詳しく解説します。

●分かりかねる
「分かりかねる」とは、「分からない」の婉曲表現です。

言いかねる・即答しかねるなどと同様に、全否定すると自らの体面を保てないような場合に使われます。

語句の性質上、権威のある立場・人物が好む表現です。

●存ぜぬ
「存ぜぬ」は「知らない」の謙譲表現。「存じません」よりも敬意の度合いが低く、目上の相手に対して使うには不向きです。

「~ぬ」の否定形はやや古めかしい言い回しであり、現代語ではあまり使われません。演劇・芝居などに適した表現です。

「存じ上げない」の例文2選!

最後に、「存じ上げない」を使った文章を2つ紹介します。参考にお役立てください。

例文

「仙台支店の大山支店長は知ってるかね?」
「存じ上げないのですが、どんな方ですか?」
「剛腕で有名だよ。4月から本社に転勤だそうだ」
「それは、4月に入ったら挨拶しておかないと!」

例文

「A社の高木課長とは面識あるかい?」
「いいえ、存じ上げないです」
「OK、今日紹介しよう。ところで、『存じ上げないです』はNG表現だ。本来なら『存じ上げません』だね」
「ご指摘ありがとうございます。以後注意します」

まとめ

「存じ上げない」はビジネスシーンで必須の表現です。

ビジネス以外でも使うべき場面はしばしばあり、正しい知識が欠かせません。

当記事の内容を参考に、ぜひ「存じ上げない」を適切に運用しましょう。

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