「ご多用中」の意味と使い方を解説!例文・類語と比較してトーンをつかもう!


いきなり用件を切り出さず、相手に断りを入れるにはクッション言葉が有効ですよね。中でも、ビジネスシーンでよく使われるのが「ご多用中」です。

「ご多用中」と前置きすることによって、お詫びや感謝の言葉につなげたり、あるいは自分の要求を伝えやすくなったりします。

当記事では「ご多用中」の正しい使い方を解説するとともに、場面ごとの使用例・誤用例・類語・言い換え表現などを紹介します。

ビジネスはもちろん、対話でも役立つこと請け合いですので是非ご一読ください。

この記事の内容

「ご多用中」の意味や読み方を紹介!

使い方や例文の内容に入る前に、「ご多用中」の意味や読み方を確認しておきましょう。

単語ベースで分析するプロセスは、フレーズ全体の意味をより深く理解することにつながります。

「多用」「ご多用中」の読み方と意味


「多用」は「たよう」と読みますので、「ご多用中」は「ごたようちゅう」と発音します。

「多用」とは用事・用件が多く、立て込んでいる様。「ご多用」の場合は尊敬の接頭語「ご」+「多用」の構成なので、目上の相手に使う敬語表現です。

「ご多用」の一言だけで、目上の相手に対し「用事が沢山ある・立て込んでいる」状況を慮っていることになります。

「ご多用中」とは


一般的なマナーとして、相手の都合を顧みずに自分の所感や用件を伝えることは、一方的な主張とみなされ失礼に当たります。

先述の通り、「ご多用中」は尊敬の接頭語を含む敬語表現です。「ご多用中」の一言があるだけで相手に敬意を表すことになり、同時に相手の都合に配慮している姿勢も示せます。

したがって、「ご多用中」はただのクッション言葉ではありません。相手との対話を円滑に進めるためのよすがであり、マナー上必要なフレーズと位置づけられるでしょう。

「ご多用中」の使い方は?


「ご多用中」を適切に使えば、相手に負担をかける用件を依頼したり、感謝の気持ちを伝えたりといった本題のアクションにつなげやすくなります。具体的な使い方を見てみましょう。

儀礼的な使い方が主


「ご多用中」が使われるケースの多くは、催事・冠婚葬祭などの感謝状・招待状・挨拶状・メールです。

書き出しもしくは結びの挨拶で「ご多用中」と一言断ることにより、相手の都合を気にかける姿勢を表しつつ、本文で自分の意志を伝える構えになります。

ちなみに、話し言葉では「多用」よりも「多忙」の方が好まれます。クッション言葉に使う場合は、「ご多用中」の代わりに「ご多忙のところ」と言い換えるようにしましょう。

依頼に使う


取引先や顧客など、社外の相手に対してかしこまった対応が必要な場合に「ご多用中」を使うケースがあります。

特に、社外の相手に負担をかけるような用件をお願いする場合には、組織の公式な依頼として最大限の敬意を表すのが一般的です。

依頼や契約に関する文書を取り交わす際、送り状もしくはメールに「ご多用中恐縮ですが」と一言添えるだけで、与える印象は大きく変わります。

感謝を示す


お礼状のように、感謝の気持ちを簡潔な言葉で伝える場合にも「ご多用中」は有効です。

ただ単にお礼を述べるのではなく、立て込んでいる中、時間や労力を割いてくれた事実に対して感謝することが大事。

「ご多用中」は、単なる社交辞令の接頭辞ではないのです。

「ご多用中」の間違い・誤用例


「ご多用中」に関する誤用や間違いの例として、散見される事例を紹介します。

「ご多用中のところ」は誤り


誤用例の中でも多いのが、「ご多用中のところ」という表現。「中」と「~のところ」は、付帯状況を表す点で同義です。

例えるなら「秘密裏のうちに」「最もベスト」のように、同じ意味を重複して述べることになるため、不要な部分をカットします。

対応要領としては「ご多用中」もしくは「ご多用のところ」のように、スリムな表現にすればOKです。

自分に対して「ご多用中」はNG


自分の状況を伝える際に、「ご多用中」と発言するのは敬語表現として不適切です。尊敬の接頭語をなくし、「多用中」にすればOKかといえば、やはりNG。

そもそもマナーとして、自分の事情を述べる際に「多用」という表現が相応しくありません。「多忙」も同様です。

なぜなら、「多用」「多忙」のいずれも自分の忙しさを強調することになるから。「時間を割くつもりがない」といった否定的なメッセージとして受け止められる場合もあります。

「立て込んでいる」などに言い換える


手が離せない状況にある場合は「ご多用中」ではなく、「立て込んでいる」と表現するのがよいでしょう。

相手に良い印象を与えたい場合は、立て込んでいる状況がいつ頃解消するのかを併せて伝えると効果的。聞く側とすれば事情を具体的に把握でき、拒絶されているのではないことがわかるからです。

「ご多用中」と組み合わせて使うフレーズを紹介!


基礎知識を踏まえ、「ご多用中」と組み合わせて使われることの多いフレーズから代表的な用例を4つピックアップします。

ご多用中恐れ入りますが

「ご多用中」の後に「恐れ入りますが」と続けることで、本題に入りやすくなります。

「恐れ入りますが」だけでも配慮の姿勢を示せますが、「ご多用中」と前置きすることで、何について恐縮しているかを明らかにできるのです。

「ご多用中恐れ入りますが」と切り出すことにより、忙しいことを承知の上で、それでも伝えるべき用事がある旨をアピールすることに。

当然、用事のハードルは上がってしまいますが、耳を傾けてもらうには有効なフレーズといえるでしょう。

とは存じますが


「ご多用中とは存じますが」と伝えることで、「用事のさなかであることを承知の上」と前置きすることができます。

「存じます」は、「知っている」の謙譲+丁寧表現です。目上の相手に対して「用事のさなかであることを承知の上」とストレートに伝えることはできませんので、へりくだった言い回しをするわけですね。

ご多用中ありがとうございます


「ご多用中ありがとうございます」とは、簡単にいえば時間を割いてもらったことに対する感謝の言葉です。

ただ単にお礼を述べるよりも「立て込んでいる中、わざわざ自分のために時間を割いてくれた」というニュアンスを上乗せすることができます。

1フレーズだけで多くの意味が含まれるため、使い方次第では非常に便利です。

ご多用中恐縮です


「ご多用中恐縮です」は目上の相手に対するクッション言葉であり、「ご多用中恐れ入ります」と同義です。

使い方によっては依頼につなげるクッション言葉のほか、簡単なお礼の言葉としても機能します。

「ご多用中」を場面ごとに例文付きで紹介!


応用編として「ご多用中」がよく使われる場面を想定し。それぞれに相応しい例文を紹介します。

社内向け


7月1日17時より、営業部会議を執り行います。ご多用中とは存じますが、ご出席のほどお願い申し上げます。

社外向け


この度はご多用中にもかかわらず、新商品発表会にお越しいただきありがとうございました。

結婚式・披露宴


つきましては、結婚披露宴を行う運びとなりました。ご多用中とは存じますが、何卒ご参加いただきますようお願いいたします。

催事・イベント


夏の懇親会を開催いたします。ご多用中恐縮ですが、皆様お誘い合わせの上、ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。

「ご多用中」の類語や言い換え表現


最後に、「ご多用中」の類語・言い換え表現を紹介します。意味は同じでも伝わるトーンが少しずつ異なるので、是非覚えておきましょう。

お忙しいところ


「ご多用中」の代わりに「お忙しいところ」と言い換えると、堅苦しさが和らぐので日常会話の中でも使えます。一方で書き言葉としては、やや平易な表現です。

「お忙しいところ」の上手な使い方としてはビジネスシーンで外部の相手と対話したり、電話でやり取りしたりといったものが妥当でしょう。

お手数をおかけしますが


時間を割いてもらったり手を煩わせたりすることについて、感謝やお詫びの気持ちを示す際には「お手数をおかけしますが」のクッション言葉も有用です。

「ご多用中」との違いは、相手に面倒をかけることが明確になっている点。したがって話の始めだけでなく、結びにも使えます。

恐縮ですが


「ご多用中」の代わりに「恐縮ですが」と述べる場合は相手の状況を察する表現部分を省略し、シンプルに感謝やお詫びの気持ちを伝える趣旨のクッション言葉になります。

慣用的な言い回しであるため、書き言葉よりは話し言葉として使うのが妥当です。

まとめ


「ご多用中」は、ビジネスシーンにおけるクッション言葉の中でも頻出フレーズの1つです。使う場面や相手のポイントは、改まった場面でやや距離の遠い相手に対して使うこと。

頻出といっても基本的には書き言葉なので、日常的に使うものではありません。ここぞという相応しいタイミングで、的確に使えるようにしておきましょう。

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